「3年間、村の男の誘いを断ってはいけない」。障子の向こうから聞こえてきた『はぁっはぁっ』と乱れる荒い息づかいと喘ぎ声で、美沙の脳裏には義父の言葉がフラッシュバックする。──前夫の借金で極貧生活を強いられてきた美沙は数日前、再婚で山奥にある限界集落の大地主・財前家に嫁入りした。幸せに心躍らせた矢先、その恐ろしいしきたりを義父から知らされたのだった。『どうじゃ気持ちいいじゃろう?』『は、はいっお義父さん…』。義父と義姉の声に我に返る美沙。一度は幸せのため、自らを犠牲にすると覚悟したものの、身に迫る恐ろしさに全身が凍りつくような感覚を覚えていた。
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